魔王木村と勇者石川
一方、魔女は。
「ひゃーはっはっはっ」
「遂にだねー」
「我らが悲願達成のため、これまで血のにじむ努力をしてきた」
「あー、妄想して鼻血出てたねー」
「思い出す東奔西走の日々」
「衣装にこだわってただけですよね」
親友と弟子にまさかのツッコミを入れられ、蛍は不貞腐れる。
「二人は楽しみじゃないののの?」
「楽しみだよー?」
「ただ前のように大事にならないか心配です」
「大丈夫だってー」
「それは前の時も思ってました」
「ぬぬぬ」
確か弟子であるはずの白山さんに返す言葉もない蛍である。
「そっ、そうだー!」
「話をそらそうとしても無駄ですよ」
ぐぬ、鋭い。
蛍がしっかりしてないだけに、白山さんのしっかり感が余計に際立つ。
「まーまー。それに、そろそろ時間かな」
見かねて迷がそう言ったちょうどその時、その部屋の扉がノックされた。