魔王木村と勇者石川
「じゃ、じゃあとりあえず、あそこの教室から調べてみよう!」
ドアを開けると、まず石川くんがその言葉に率先して中に入る。
先に入りにくそうにしているレディーファースト木村くんに、ドアを開けたままどうぞと言うように蛍が促すと、木村くんが不審そうに蛍を見た。
が、諦めて入り、その後に鎌田くんが続く。最後に迷が入って、蛍はこっそりドアを閉めて鍵をかけた。
その瞬間、
バンバンバーン
「「ご入学おめでとーございまーす」」
冬城くん、鶴野くん、早本くん、白山さん、誉ちゃんがクラッカーを鳴らす。
「………」
それを無視して何事もなかったかのように、普通に着席しようとする石川くんに、
「やっぱり、蛍さんの顔なんかあると思った」
と、仰る木村くん。
「びっくりしたー」
鎌田くんだけが、本気で驚いてくれました。
「なっ、なっ、なんでーーーっ!?」
石川くんと木村くんのあまりのリアクションに蛍は暴れます。尻に火がついた鶏のごとく暴れます。
が、
「いや、見えてたから」
石川くんの冷静なご意見に鎮火されました。
「で、一体どういうことなのか説明して頂こうか?」
ついでに、凍りつきました。
「俺たちは、魔物の国と人間の国の外交官を育てるための学校の体験授業の特別ゲストに呼ばれたんじゃなかったのか?」
「ぐぬぬぬぬぬっ」
蛍は迷の後ろに隠れようとして、いやいやと迷がさらに後ろに隠れようとし、生死を賭けた本気のおしくらまんじゅうになる。
「大体おかしいと思ったんだ。率先して主催者をやりたいと言い出すなんてな」