魔王木村と勇者石川
「「えっ!」」
一同その聞いたことのない木村くん以上にのんびりしていて、可愛らしい声の主を探す。
だが、あるのは足が生えた百合一本である。
「えっと………百合っすよね?」
さすがは冬城くん。面白いことには真っ先に食いつく。
蛍は仕方なく答えた。
「うん。名前は水谷ちゃんだよ?」
「水谷ちゃんだよ~」
「マジっすか?ってか、なんで?」
「聞いて驚きなさい。私が作り出したのんのん」
「マジっすか。すっげー」
そう言って雑に百合の水谷ちゃんを持ち上げた冬城くんに、水谷ちゃんは悲鳴を上げる。
「イタイ、イタイ、イタイよー。あんまり引っ張らないで~」
「水谷ちゃんが嫌がってるじゃないですかっ。冬城離せ」
「えー。どうしよっかなー」
「で、弦野くん。百合、探してたの?」
「え~、私ですか~」
「えっと、そうじゃないですけど………」
「あの、皆さん。王の間開けっ放しでいいんでしょうか」
かっ、カオス。
「しっ白山さーん!」
蛍がそう言うと、白山さんが振り返った。
「なんでしょう?」