魔王木村と勇者石川
薄暗い廊下を歩くこと二十分ほど。
「あ、そろそろ魔王さまの謁見の間ですよ。」
「そうか、いよいよ俺の……」
「あああああああ!!!!」
石川の言葉を遮って、焦ったような声が廊下に響く。
「勇者さんもう来たんですか!? あの、今すこし立て込んでいるのでもう少々お待ちいただけませんか。」
魔王城で警備隊長をしている早本くんである。
ずいぶんと焦っているというか困っているというか、そんな様子である。
「え、早本どうした。とりあえず連れてくよ。」
「いや、ほんとに! ちょっと!!」
止める早本を無視し、問答無用でズンズン魔王の間に近寄る白山。
「ああああああああああああああああああああ!!!」