魔王木村と勇者石川
「パーティーっすか。楽しそうっすね」
「でしょ、でしょー?」
本を読んでいた冬城くんが顔を上げる。
よっしゃー。
「じゃあさ、こっちに来て」
魔女は怪しげに手を動かす。
こっち来ーい、こっち来ーい、こっちに___
「いいっすよー」
ヒャーヒャッヒャヒャ!
使用人を王座から引きずり下ろしたぜ。
後は木村くんを王座に座らせれば___
「うーん。じゃあ、パーティーの装飾を作ろう」
……木村くーん、まだ働くんですかい。
まあ、いいや。フキフキしてないからまだマシだ。
「じゃあ、鶴野くん以外装飾作りね」
「えっ!」
鶴野くんが不安げな顔をする。全く正直な奴だ。
「鶴野くんには料理を頼みたいんだ」
「あっ、なるほど。分かりました」
シャキーン、九十度直角。
そんな主張の激しい生真面目な礼を返してくれた後、颯爽と鶴野くんは行ってしまった。