魔王木村と勇者石川
と、思ったらパカパカしてる扉で、大縄に飛び込むみたいにタイミングを取っている。
頑張れ、ほら今。
いままままま………いま?
とっ扉が外れそうな勢いでパカパカ閉じたり開いたりしてるぞ?
それも今も糞もない早さだ。
「……早本くん、おいで」
蛍はまだパカパカしている彼に、ため息混じりにそう呼びかけた。
「あっ……」
どうやら無意識だったらしく、扉をパカパカしていた自分の手を見た後、僕は何をしていたんでしょう的な目で私を見た。
不思議そうな目をした早本くんと、可哀想なものを見た目の蛍。
二人は無言で見つめ合う。
「見つめあーた、ときーから、魔法がーとけーたよー♪ 津波のような、こーかいに、手が、震えてる♪」
あっ、ちょうどいい感じの曲も流れてきた。
って、
「冬城くん、やめようか」
「はい、蛍先輩」
「冬城くんの先輩になったつもりはないけどね」
「あっれー?そうでしたっけ?」
「………とりあえず早本くんが正気に戻って良かったよ」
「ご迷惑を」
「いやいや、どっかに飛んでいきたくなるような状況だったからね。周りが悪いんだよ。周りがね」
「あっあの」