魔王木村と勇者石川
「ん、鶴野くん?」
存在忘れてた。
酷いこと言うけど、まだ居たのね。
「料理って何人分ですか?」
「あー、じゃあこの場にいるメンバーと勇者たち御一行だから……」
勇者側は、石川くんと迷、それに白山さん。
こっちは蛍に、早本くん、冬城くんに、あっ鶴野くんも忘れないようにして、まあ可哀想だから百合の水谷ちゃんにも。
そして、魔王様。
っと、順番に指をさして数えていると、嫌なものが目に入った。
「木村くん……」
「ん?」
「隙あらばフキフキしないのっ」
「えー」
だから、そこで照れるなって。可愛いな。
「フキフキ、フキフキ、ふきっふきっ♪魔王様~♪」
「冬城くんは歌わないっ」
「いいじゃないっすか~」
「良くないっ。鶴野くん、九人分でお願い」
「分かりました。それでは」
九十度直角の礼をして、鶴野くんは今度こそ行ってしまった。
パカパカしないでと言わず飛び込むタイミングをはかる辺りで、鶴野くんはかなり律儀というかなんというか?
まあ、一言で言えば鶴野くんっぽい。
だから、良し。