魔王木村と勇者石川
「あっ、ほんとっすねー。少し黄色い」
「黄色?……あー、そういうことか」
私は水谷ちゃんを見た。
「さっき、サボってたのバレた時、慌てちゃったんだねー」
「すみませ~ん」
「いいよいいよ」
「ぐしゅんっ」
「………あー、やっぱり良くないみたい。木村くんって花粉症ヒドイタイプ?」
「んー」
水谷ちゃんは慌てると黄色いイエロー花粉を飛ばす。今回も水谷ちゃんの周りが少し黄色くなっていた。
その被害にあって木村くんは顔をしかめて鼻をすする。
うん。その顔も可愛いけど、なんか辛そうだ。
「薬飲んできたら?私たち、花粉片付けて、テーブルクロスとかやっちゃうからさ」
「ん、なんかごめん」
可愛い。
木村くんがトテトテと自室の方へ、鼻を押さえながら行く様子に、なんとも言えない可愛さを感じながら、それを見送った。