魔王木村と勇者石川
「そう言えば、そうですね」
「どうしちゃったんでしょ~?」
「ま、そのうち帰ってきますって」
なんてことを言うんだ。仮にも、魔王様なのに。
「そのうちじゃ、困るんだよ。このウサギの折り方分かんないし」
三人の手元(水谷ちゃんの手は葉っぱだから、葉元?)には、何だか分からないウサギのなり損ないが置かれていた。
「もう、鶴だけで良くないっすか?」
「まあ、そうなんだけどね」
出来上がった鶴の山を眺めながら、蛍は思う。
既に百羽くらいは普通にいそうだ。
でも、折り紙のウサギは別にこの際どーでもいいのだ。
早く木村くんに戻ってきてもらわないと困るのは、もうすぐ勇者がもう来てしまうからに他ならない。
「木村くん、早く来ないかなー」
「お待たせしましたーっ!」