魔王木村と勇者石川



そんな石川の後ろから中を覗き込んだ迷が、気の抜けるような声を出した。
 


「うわあ~、すごいねえ~。大変そうだね!」
 

突然姿を現した迷にぎょっとした石川は気にせずに、蛍が言葉を返す。
 

「大変だよよよ~。かくかくしかじかで」
 
「なるほどなるほど~」

 
蛍が説明するこうなった経緯に、うんうんと頷く迷。
 

「なるほどな。」

 
ん?
 

迷の声ではない。かと言って蛍でもない。

二人は同じ動作で、恐る恐る振り返る。
 


そこには、やはり勇者石川がいた。


どうやら迷がいる事実は気にしないことにしたらしい。

いや、あとで問い詰める気なのかもしれないが。
 


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