魔王木村と勇者石川
一通り勇者が話し終えると、魔王の間はすっかり元通りになっていた。
別に白山たちがすごいスピードだったわけではない。
いや、確かに急ぎはしたが、それでもまあ、ちょっと早いくらいのスピードである。
つまり、勇者石川による魔王木村への説教の長さが…………。
コホン、この話はやめにしよう。
やっと終わった説教に、木村くんは立ち上がり、痺れる足を震わせながら石川を見た。
「え、えっと~」
「なんだ」
恐る恐るといった様子で何かを言おうとする木村に、石川が素っ気ない態度で続きを促す。
「いや、やっぱりなんでもない」
ふいっと小声でなかったことにしようとする木村くん。
それに石川が不満げに詰め寄った。
「おいっ? 言えよ! 気になるだろ!!? 言いかけてやめるのは重罪だぞ!?」
「じゅ、重罪?」
「重罪だ。だからさっさと言え」
若干疲れた感じの石川が頷いた。