魔王木村と勇者石川
再びヒートアップしかけた石川は一度咳払いをした。
気を落ち着かせてから、ゆっくりと口を開く。
「つまりだな。お前が魔王であっても。」
「うん」
「お前は人間の領土を侵す気はないんだろ?」
「うん」
「つまり、お前が人間の脅威にならないと分かれば問題ないんだよ。」
「そ、うなのか?」
「そうだよ。そもそも、お前のおかげでここの住人は幸せに暮らしてるんだろ」
「いや、それは別に俺の功績じゃ……」
「お前の功績だよ!! なあ?」
突然ふりかえり、話を振ってきた石川に、一同コクコクと頷く。
それはもう、全力で。
木村は傍目から見ても、とっても努力していた。
みんなのためにコツコツ頑張っていた。
みんなそれを知っているし認めている。