魔王木村と勇者石川
「そっそうですか」
棒読みの白山さんは息ぴったりな迷と蛍に若干引き気味だ。
「ところで、その…迷先輩、ですよね」
「そうだよー」
白山さんはそういえば迷と実際会うのは初めてだ。
しかし、白山さんはその感動の出会いよりも、気になって気になって、うずうずしまくっていたことがあったらしい。
「あの、えっと、私がご案内したのは勇者様だけだった気がするんですけど…」
「あー、うん。内緒でついてきた」
「はあ」
間抜けな顔の白山さんに、なんの悪びれもなく迷は、マジックカメラを見せびらかすように少し持ち上げる。だが、ちゃーんと画面には現在進行形で木村くんと石川くんがきっちり収まっていた。
さすがっ。
迷はもう、その道のプロっ。
「それ、後で送ってね。私も迷が来る前の様子送るから」
「りょーかい」
二人でホクホクしていると、白山さんがうつむいたまま手を上げる。
「…それ、私も貰えますか?」
そんな可愛い後輩白山さんに、自称腐れてない女子の二人はニマっと笑う。
「いいよー。あっ、でも本人たちにバレないようにね」
「えっ?」