魔王木村と勇者石川



そんなこんなで、無言でまた雑巾でフキフキし始めた白山さんに、蛍がふと気がついて呼び掛ける。


「あっ、そこは私が全身でさっき拭いたから、大丈夫よー」


そう、その辺りは魚のような蛍によって勢いよく拭かれたはずだ。


だが、そんな蛍の言葉に、白山さんは一瞬こちらを見たが、何事もなかったように、フキフキし始める。


それも、一瞬合った目は生暖かい目だった。


なんだったんだろ?



「白山さーん?」

「………」

「そこは___」



「そこは、なんですか?」

なっ………、えっ笑顔が怖いですよー。白山さん。



どっ、どうしよ。
あれか?

触らぬ神に祟りなし。

ってやつか。
そうか。それだっ………!


「なっ、何でもなーい」


よっ、よーし。
そんなことより、目の前の行き詰まった木村くんと石川くんに助け船を出してあげようではないか。


私は偉いから、ね。
うん。


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