魔王木村と勇者石川
城に轟きわたるそれは、紛れもなく蛍の断末魔。
石川くんの超弩級のデレ台詞に完全ノックアウトされてしまったのだっ………!
しかしそれは迷も同じこと。声は出さないまでも、無声音で叫びながら、俯いてプルプルと震えている。
「うるせぇ」
いや、いや、いや。石川くん。
低い声でね、そんなこと言おうとね、そんな明らかに照れ隠しってわかるしぐさでそっぽ向かれたりされたら、もーうたまらんのですわ。
マジで、殺人級。
そのツンデレ、罪だわー。
「おい、こいつはいったいなんなんだ?」
「あー、うん。いつものことだから気にしないでいいよ~」
石川くんの蛍への引き気味の質問に、迷がそう答える。
だが、石川くんにバレないように、迷は石川くんのフルボイスもその表情も、全て迷が掌握済みだ。
後で、送ってもーらお___
「いつものこと?」
しかし、現実石川くんは鋭かった。