魔王木村と勇者石川
「いつものことってどういうことだ?」
「え?」
これには、さすがの迷も顔が強張る。
思わずといった風に、マジックカメラと水晶を隠すようにする迷と蛍に、石川くんの目が据わった。
「そういえば、俺に会うの初めてじゃないような喋りだったよな」
「そっそうだっけ?」
蛍が震える。
「それに、よくよく考えれば魔王がどーのって俺を勇者にしたのもっ……!」
「そっそうだっけ?」
迷が震える。
ガタガタ、ブルブル。
二人は身を寄せあって、お互いをチラリと見る。両者良案は無さそうだ。
ガタガタ、ブルブル。
いや、これどーするよ。
石川くんは怒ると本当に怖いのは知ってるし。
イライラさせるのも加減しないと、全然お得じゃないし。
引き際が肝心とか言うし___
「___ま、いいがな」
「えっ?」
石川くんのその言葉に、幻聴が聞こえたのかと二人は目をパチクリさせた。
「いいの?」
「まあ、別に?興味もないからな」
「ほんとっ?」
「しつこいな」
二人は、納得した。
クールで、ツンツンしてて、怖いこともあるけど。でも、結局のところ石川くんは優しい。
「ってか、今本人から公式に許可おりたたたよね?」
「そうみたいだねー」
「「ヤバッ!」」