魔王木村と勇者石川
ため息まじりに蛍は答える。
「魔王様の好物っ!」
「あー、なるほど。」
「あ、ちょっと待って。微糖の缶コーヒーも用意しといてね。」
そう付け足したのは迷だ。
「? はい、わかりました。」
シャキーン。九十度直角礼。
肩に足の生えた百合を乗せた律儀な奴を微笑みで見送って、蛍は首を傾げて親友を見た。
「で、なんで微糖コーヒー?」
「ほら、言ったじゃん。石川くんの飲み物」
「ああ~」
フッフッフッ。
あとはこれを二人の出発前に、ブツを仕込んでおくだけ。
木村くんと石川くんが人間の国の話で盛り上がっている間に、蛍はリュックを魔法で作り出す。
これでよし。
後は、作り出した木村くんのリュックには飲み物を一切入れず、石川くんのリュックにはブツを大量にいれておけば、オールOK。
あ、でも、4本くらいは木村くんお気に入りのお茶にしとくべきかな。