魔王木村と勇者石川
「あー、忘れてたー」
確認をとって、わざとらしく呑気な声を出した迷。石川くんが迷を見てめんどくさそうに聞く。
「は?」
「石川くんのリュック重いまんまだったー」
「あ?」
「迷、だめじゃーん。木村くんのリュックはもう軽くしてあるよよよ?」
「はーーーーっ?」
キレる石川くんを見て木村くんは納得する。
「あー、重かったのか」
「ごめんね、うっかり」
えへっと笑って迷は軽くする魔法をかけ直す。
「いや、最悪っ。なんなんだよっ!マジで」
悶える石川くん。
「えっ、ごめん」
謝る木村くん。
「お前じゃねーしっ!」
怒る。
「ごめん」
謝る。
うん。
本当にいいコンビだ。
この後、木村くんが“でも、なんで重たいって言わなかったの?”と聞いて石川くんが返答に困っていたところから、迷が石川くんに謝りつつ、“こんな重いもの背負ってたのに立てたなんてすごいね、さすが石川くん!!”と言って、ご機嫌とりを成功させたところまで、蛍はきっちり録画した。
結果、思ったこと。
石川くん、とことん不憫だ。