魔王木村と勇者石川
「いい加減、本読むのはやめんしゃい」
ムシャクシャして冬城くんを殴った蛍は、それでは飽きたらず暴言を吐く。
「………この坊主頭」
「えー?」
はあ。
どいつもこいつも役に立たない。
あくまで自分を棚にあげて蛍は思った。
……だから、石川くんみたいな同い年の男の子と引き合わせたかった。
本当は萌えとかなんとかも二の次。
魔女の蛍は魔王になる前からずっと木村くんを見てきた。
いづれは魔王になる男の子。
その男の子の役に立ちたいが、政治とかそんなことサポートできる立場じゃなかったし、他にも仕事があってそんな機会はなかった。
あくまで蛍は魔法書の管理を城でしていただけで、普段は町で魔法を使ったショーを仕事にしていたのだ。
しかし、そんな中でもずっと思っていた。
魔王になってしまった木村くんが、頼れる誰かがいたら、と。
そんな時、迷から送られた映像が石川くんだった。石川くんを知るうちに、その誰かが石川くんだったらいいなと、そう思っていた。
そして、今日がある。