同居人は国民的アイドル
ちらりと廉くんを見ると、いつの間に移動したのか、もう既にソファーの近くの壁にもたれて立っていた。
「…………ほんとにいいの?」
恐る恐る、といった感じで廉くんに聞くと、うん、と躊躇いなく頷かれる。
「じゃあ、お言葉に甘えて…………」
あああ、ほんとに迷惑かけまくりだ。
相手が廉くんだとしても、なんとなく申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そろそろ、とまるで泥棒のようにベッドの傍までいくと、そのままそっと横たわった。
すっぽりと布団を頭から被ると、ふわっと香ってきた匂い。
廉くんがよく付けてる香水ではなくて、もっと人間らしい男の子の匂い。
どことなく安心するその匂いが鼻腔をかすめると、廉くんのベッドなんだと再認識させられるようで。