同居人は国民的アイドル
…………あれ?
「あ、ありがとう……」
戸惑いながらも、渡された本を受け取る。
なんか…………あっさりしてない?
翔大のことだから、
「え!?お前、好きなやついんの!?
だれだれ!!」
みたいな感じになるかと思ったのに。
なんか…………拍子抜け。
まさか、私の「友達が…………」っていう嘘くさい話を信じたわけじゃないだろうし。
どうしちゃったのかな。
「あ…………じゃあ、私行くね」
まあ、せっかくあっさりと引き下がってくれたんだし。
気が変わってしつこく聞かれる前にこの場から退散しよう。
様子のおかしい翔大が若干気になるものの、私は本を抱えて足早に図書室を出た。
後ろで、じっと私を見つめる翔大に気づくこともなく。