同居人は国民的アイドル
全てが聞こえなくなるくらい。
「里華!!やばいね!なんかちょっとかっこいいかも!」
周りの騒音に負けないように、由奈が大声でそう言う。
ファンとしてはすごく嬉しい感想。
だけど、私はその声に反応することが出来なかった。
たった今気づいたこの気持ちに心が支配されていて。
「里華?」
反応のない私に、由奈が不思議そうな表情。
それとほぼ同時に、
「ん、おいで?」
感激していつまでも泣きじゃくるミナミさんに向かって、廉くんが両手を広げた。
「ぎゃーーーー!!!!!!」
鼓膜が破れるほどの悲鳴を浴びながら、ミナミさんが少しずつ廉くんに近づく。