同居人は国民的アイドル
チョキチョキチョキ。
軽快なハサミの音が響き渡る。
それと同時に、長い髪の毛が少しずつ床に落ちていく。
「わぁ、可愛い!!とってもお似合いですよ!」
美容師さんの何やら興奮したような声が聞こえ、そっと目を開けると。
「…………え、これ私?」
鏡の中に映る、見慣れない女の子。
数時間前のロングヘアに慣れていたからか、何だか私じゃないみたい。
「すごい可愛いです!ボブ、似合いますね!」
切ってくれた美容師さんが綺麗な笑顔でそう言ってくれる。
たとえ似合わなくても「似合ってる」と言ってくれることはわかってるけど、やっぱりそう言ってもらえると嬉しいな。
自分だと似合ってるかどうかなんてわかんないもんね。