同居人は国民的アイドル


「いや、だって同居してる間に俺の本性は見えるだろうし。
だったら最初から出しといた方がいいと思ったから」




海翔の興奮を抑えるように落ち着いてそう言う。




だけど、海翔は驚きで固まったその顔を緩めなかった。




「お前が必死で演じてきたそのキャラをそんなあっさり捨てる日がくるとは…………
素の自分を見せたいほど魅力的な子だったの?」




「いや、別にそういうわけじゃ………」




海翔の問いかけにまるで言い訳するようにゴニョゴニョと答える。




別に素を見せたかったとかそういうわけじゃないけど、里華は他のやつに言わなさそうだし。




それになにより、家でもアイドルを演じていたら、俺の方がストレスで死んでしまう。




< 77 / 233 >

この作品をシェア

pagetop