* KING *
屋上に着くと死神が フェンスまで追いやり鋭い目で睨み付ける。

「なぁお前 何考えてんだよ?」

「あの咲本さん…」

「ん?俺の名前は?」

「もう、聖人さん朝から意味がわからないから 止めてもらえませんか?」

「何で?」

「しかも朝から不機嫌だし、私何かしちゃいました?」

「あのなぁ…むかつくんだよ、朝から。」

訳も教えてもらえないし、怒ってるのは何で?黙っていたら フェンスを両腕で囲まれていた…

「えっ?何してるんです?」

「わかんないやつには 体で教えてやるよ…」

「んっ…」

一瞬何が起こったかわからなかった…噛みつくようなキスをされている?

「やっ。ん…」

拒否の言葉を言う為に口を開けた隙に 舌がスッと侵入する…

首と腰をがっしりと捕まれて 逃げる事も許されない体。

やだやだ…生理的な涙が滲んできた時に

「何やってんだよ…」

もの凄い低い声が 意識が朦朧とした中で聞こえた。

死神の腕が少し弱まり 私はその場に崩れ落ちる。

「お前 仕事中にふざけた真似すんなよ。杏 嫌がってるだろ?」

「は?昨日からこいつは 俺のなんだよ。」

「なんだよ。それ?」

「俺の女になったんだよ。聞いてない?」

「は? お前頭大丈夫か?」

「咲本さん、もう止めて下さい。私はあなたのオモチャじゃないですし、言う事を聞く義務はないでしょ?

仕事をヘルプして頂いたのはすごく助かりましたが、私はあなたの女でもないです。」

「咲本それに杏は、前から俺の下僕なんだよ。俺の命令にしか従わないから。」

「は?百瀬、いつからそんな口言える様になった?杏果は いづれ俺の女になるから 覚えておけよ。」

「杏果 先にパターン室に戻るから 直ぐに来いよ。」

頭をくしゃっと撫で 死神は屋上から出て行った。

残された場所には 気不味い空気しかなく、どうしょうかとプチパニックな私がいる。

先輩が私の側に来て さっと腕を掴み私を立ち上がらせてくれる。ここまでは考えられた…

今は?

「なぁどうゆう事?ここが痛い…」

胸を押さえて痛がる先輩がいて、ぼぉっしていたら 抱きしめられていた。

何で?先輩が胸が痛いと私が抱きしめられないといけないの?

ますます訳がわからない私は 考える事を頭で放棄し 先輩が飽きるまでじっと時が過ぎるのを 息を潜めて待っていたのであった。




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