* KING *

シンプル

ちょっとだけ ホントにちょっと。マンションに入るのに躊躇した。

あんなに先輩の事 邪険にしてたくせに帰って来るとか、先輩どう思うんだろ?

ってか 先輩家にいるのかな?普通にそれが不思議なんだけど…。

超イケメン、仕事も出来て大人。喋らなければ 私が人生の中で出会う事さえ出来ないハイスペックな人。綺麗で素敵女子な恋人が 何人もいてもおかしくない。

あ~あ…考えていたら 自分がやっぱり色気の1つもない子供だと思い落ち込む。当然相手にされないのが当たり前過ぎる。

どうすれば色気とか出るんだろ?大人の魅力に 届きそうにもない自分が悲しい。

やった事のない 下のエントランスでチャイムを鳴らしてみた。

ピンポン…

「えっ?」って声が聞こえたきり シーンとしている。オートロックは依然開かない状態…

私どうしたらいいんだろ?来ちゃダメなタイミングだったの?

先輩と家が近くて良かった。余計な事を考える前に家に着くし そのままシャワーして 寝てしまえば ダメージは限りなく少ないはずだ。

あ~あ、こんな事なら 真っ直ぐ家に帰れば良かった…気分は底に落ち トボトボと歩き出した。



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