* KING *
カチャとドライヤーをコンセントから外し
片付けて 先輩がキッチンに行きお酒の準備をする。

「お前 ワインは飲めんのかよ?」

「少々なら飲めると思います。」

「少々ね。」

フッと軽く笑う極上の男に見惚れる事 3秒。

「何だよ?」

「///いや、先輩は格好いいな…と普通に思います。なのに残念な性格が付きまとい、本当に残念です。」

「おい。残念しか言ってないぞ…」

「黙ってたら、女子が群がるいい男。私といると特に俺様とか とんでもない人間なのに、人は見た目に騙されるんですね。」

「お前何が言いたいんだ?」

「モテるのも、中々大変ですよね。先輩はどんな人を好きになるんですか?」

「は?お前に教えるかよ。」

「やっぱそうですよね。先輩は謎の多い人ですもんね。」

「お前は好きになったらどうなるんだよ?」

「先輩ズルいですよ。自分は話さないくせに、だから私も内緒です。だから教えません。」

「チッ…」

舌打ちをされた。ワインはまわるのが早い。
ついつい飲んでしまってたみたいで、立ち上がるのも 儘ならない。

「杏 俺がいなくてもお前は平気か? 」

頭が回らなくなっている時に マジな話は止めて欲しい。

「先輩どう言う事?」

「いや、やっぱいい忘れてくれ。お前飲み過ぎなんだよ。優しい俺様が ベッドまで運んでやるから…ほら掴まれよ。」

今日は何故か いつもより20%くらい優しい先輩が 私をお姫様抱っこをしてベッドまで運んでくれる。

私は もう半分くらい夢の世界に入る手前で

「おやすみ。杏」

先輩の声が聞こえ その後におでこに柔らかな唇が触れた様な…夢の淵に落ちて行き 意識を手放した。




< 139 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop