* KING *
店を出て先輩の車に乗った。

「先輩 ラーメン凄く美味しかったです。それと ご馳走さまでした。」

「それは良かった。でも店は汚い所だっただろ?」

「そんな普通でしたよ。でも店が開店してるのか わかりずらいシャッターが閉まっててラーメン屋さんだけど予約制とか、面白過ぎます。」

「ああ、兄さん変わり者で、こだわりが強いナルシスト。だけど俺はあの店が好きなんだよ。」

「先輩のお気に入りの店に連れて行ってくれるなんて、本当にありがとうございました。」

本当は先輩のお気に入りの一部に 私も入っていたらなんて ちょっと思ってしまう。

今 これ言って否定されたら凹むから 敢えて言わないけど…

「さてと次もあるけど お前は疲れてないか?」

何…どうしたの?先輩が私を気遣うとか あり得ないんだけど?

「///は?」

「何が、は?だよ?」

「先輩 お酒入ってます?さっきの店で 私に隠れて飲んでたとか?」

「…んなわけないだろ?車運転するのに、何バカな事言ってんだよ。」

おかしな先輩…よくよく考えると、今日いつもと違うような?気のせい?私がデートだからって 浮かれ過ぎちゃってるから?

「全然疲れてませんよ。むしろ年齢が私より上の先輩が疲れて どこかでゆっくりしたいのかと心配になりますけど?」

「チッ、お前やっぱ、可愛くねぇな…」

デートの最中に舌打ちとか…失礼な///

「もぅ可愛くなくて結構です。素直じゃないのは元からですし、私が大人しいのも怖いでしょ?」

「で、お前のリクエストはないのか?」

え~、自由に言っちゃっていいの?本当に私の希望とか?

「先輩、いいんですか?」

「ああ、今なら何処でも連れて行くから言っていいぞ。」

「先輩 神です。今だけ神ですよ。」

「お前なぁ、ハハ…」

私は考えた。先輩と二人で楽しい場所はやっぱり…

「私は家でまったりしたいです。先輩の家の あのアトリエで、先輩といたいかな?」

「///何だよそれ?いつもの生活だろ?」

そうなのだけど、私はあの場所が好きで癒される。

「何処でも良いって言った癖に…素直に言ったのに意地悪。やっぱ先輩は鬼だ…。」

「はいはい、わかったよ。帰ればいいんだろ?デート もう連れて行けないけどいいんだな?」

いやいや。一回限りで もうないの?

「先輩のケチ。可愛い後輩が落ち込んだり 凹んだりしたら、また連れて行って下さいね。」

無理矢理約束したかった…だって、先輩の横顔が泣いてるみたいに見えたから。

返事はなかったけど、今日が最後だとか言わないで…先輩お願い…




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