* KING *

急旋回

いつもの朝が始まる。

先輩に起こしてもらい、顔を洗い用意された朝ご飯を食べ先輩チョイスの服を着る。

私はこの歳でお気楽な女子No.1の自信がある。

ダメだと思いながらも この楽チンな生活にどっぷりと嵌まりそうになってない?

「杏、行くぞ。」

最近では送り迎えも車という、執事兼運転手付き。かなり綺麗なお顔で俺様の…。

やってる事は どこぞの令嬢のお嬢様みたいだ。残念な中身は全然伴わないけれど…。

だけど今日はいつもの朝とは 少~し違う朝であった。

会社のエントランスを入って 先輩と歩いてると、急に横から手が伸びて来て…拐われる。

「えっ?ちょっと…」

竜野君が 私を連れ出した?

「いいから来てよ。」

階段で3階まで上がり 会議室に入れられた。

「何するの?どういうつもり?」

「仕方ないじゃん。連絡取り様もないし、待ち伏せしか…柚っち杏果の何も教えてくれなかった…」

good job 柚っち!と拍手喝采だ。厄介な人には、自分の連絡先は教えたくない。

「で、朝から拉致?強引過ぎない?」

「昨日、帰りに撃ち抜かれたハートを 再生しようと思って行動した訳。ねぇ俺と付き合わない?俺なら予約なしで直ぐに彼氏になれるけど?」

バカじゃないの?話の通じない人との会話は疲れる。

「話にならないから行くよ。竜野君とは 付き合わない。週末も言ったつもりだけど?」

「じゃあさ、百瀬チーフにお前を貰うって お伺い立てても問題ないよな?」

「はぁ?訳わからないけど、先輩相手にしないと思うよ。私 女として見られてないし…好きにすれば?」

朝から 何だか訳のわからない不良に絡まれた感が半端ない。

もぅ最近 私の回りが穏やかでないのは 何故なの?

仕事以外で考えなきゃいけない事だらけって かなり面倒でどうでもいいじゃない?って放り投げれたらいいのになぁ。

今日はそれよりも 大変な話を後で 圭さんから聞く事になるなんて、この時の私は知らなかった…




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