* KING *
暗闇の中に 明るい光が見える。目を少しずつ開けて 確かめる様に瞼を開いた。

あれ?ここは…医務室?
パイプ式ベッドが2つあり カーテンの仕切りがあって 外から寝てるのが見えない様になっている。

ゆっくりと起き上がる。私何で此処にいるんだろ?さっぱりわからない。

そろそろとベッドから降りようとした時に シャッとカーテンがひらかれた。

「杏果起きたんだ?どう?気分悪かったりしない?」

「うん、大丈夫みたい。竜野君どうしてここにいるの?」

「パターン室に行こうと向かった先に 杏果が倒れるのが見えたから。直ぐにここに運んだんだ。」

「そう、私倒れたんだ…。ごめんね迷惑掛けちゃったね。」

「いや、とりあえず色部の百瀬チーフと圭さんには伝えたけど、杏果どうした?」

「疲れてたのかな?」

「んなわけないだろ?俺わかるし、百瀬チーフの海外出向の話が関係してるんだろ?」

「え?竜野君 もう知っているの?」

「そりゃね、俺の部署何処か知ってる?」

「そうか、広報だから詳しいのか…」

「で、杏果はショックだったんだ?」

ズバリ当てられ焦るが ポーカーフェイスで乗り切る。

「ちょっと昨日寝不足だったんだ。だから社会人失格の私は反省して 部屋に戻るよ。」

「そりゃ戻らなきゃだな。杏果は俺にお礼をしないといけないから、今日終わったら飯に付き合え。それと連絡先、今教えてよ。」

何だかうまく話をまとめられ 今日のご飯の約束と連絡先を教えてしまった。

「じゃあ、定時にな…」

と爽やかに去って行く竜野君。

そうだよね。今日は落ち込まない様に飲むのもありだな…と思いながらも 重い足取りで色部に戻るのであった。




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