* KING *
部屋に戻る前に トイレに向かう。泣いたのがわかるとか 絶対避けたい。

鏡を見ると…何とか大丈夫みたいだ。

トイレから誰かが出て来たと思ったら 柚ちゃんだった。


「安ちゃん、どうしたの?目が赤いよ…。」


やっぱ、柚ちゃんにはバレちゃうか…


「うん、ちょっとね仕事の事で泣いちゃったよ。だけど何とかなるから大丈夫だよ。また、落ち着いたら柚ちゃん話聞いてね。」


「うん、わかった。また安ちゃんのお家で思いっきり女子トークしようね。フフ///」


「もっとお喋りしたいけど、戻ろっか…」


すこし柚ちゃんと喋り 気分が通常ぐらいに戻って少しホッとする。今度こそ色部に戻らないと…。

ポーカーフェイスを装い、どこまでも強気な安藤杏果。特に気合いを入れ 今日の仕事が終わるその時まで 大女優も絶賛する完璧な演技を見せてあげる…


涙は嬉しい時だけ。
流さない、これ以上…




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