* KING *
恐る恐る色部に入った。ポーカーフェイスの仮面は装着中。

「先輩、圭さん 三人での仕事は あと1ヶ月しかないんですよね。この1ヶ月のスケジュールってどうなってますか?」

「あら、杏帰って来たの?フフ…」


意味深な圭さん?あれ?


「杏、おいで…」


圭さんに急に抱きしめられて、耳元で聞かれる。


「杏、あなたやっぱ可愛いわね。泣いたんでしょ?もう、あ~キスしちゃっていい?」


「///あの?えっと…。」


対応に少し困って固まっていると…


「圭 離れろよ。今から俺と杏は打ち合わせだ。圭は帰っても構わない。」


「あっら~?あんまりじゃない?私は邪魔者なのね!失礼しちゃう…」


と、言いながらも 私をぎゅうぎゅう抱きしめる圭さん。


「杏、ここに座れ。」


えっえ~?やだやだ///
今のこの状態もだし、先輩のそこは…もっと無理でしょ…
ブンブンと首を横に振る。


「凱人、それはさすがにダメよ。」


とやたら嬉しそうな圭さん。


「凱人、それを人はセクハラって言うのよ。」


「お前のそのハグも 十分セクハラだろ?」


「あら、杏が黙ってるからいいのよ。ね~。」


「もう二人の会話を無視しちゃってもいいです?そろそろ真面目に仕事しません?」


誰が上司か部下か めちゃくちゃな感じ。


「もう杏、そんなところも可愛い…。」


すかさず 頬にキスを落とす圭さん。逃げる隙もなく。


「おい。ほら早く座れ。」


「あら怖い鬼が赤くなっちゃった…。私は帰っちゃうけど、杏は凱人と二人で大丈夫?」


えっえ~。この空気の中 二人は気不味いんだけど、それなのに…


「まっ、何とかなるわね。それじゃあお先に、ちゃお!」


と颯爽と姿を消す美しい人…


私の思考は完全に固まる。
これって どうするんですか?



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