* KING *
「欄、何キスしてるんだよ?」


「///ンフフ。杏果ちゃん可愛くて私の物にしちゃいたい。ダメ?」


「杏はダメ。圭も狙ってるんだ。兄弟で奪い合うなよな。」


「因みに僕も杏果の事狙ってますが、百瀬さんは どうなんですか?」


本人を目の前にして、竜野君も何の話を先輩に振ってるの?


「こらお前ら、俺に説明させろ。」


全員 須藤さんに睨まれながら、話を聞く為に 話は中断された。

私は心の中でホッとしていた。先輩の答えがスゴく怖くて 聞いていられなかったから。

火曜日から サンプルが揃ったブランドから順に 撮影が始まる様だ。


「安藤さん、ちょっといい?」


私だけ須藤さんに呼ばれて付いて行く。


「不躾だけど、安藤さんは百瀬と付き合ってる?それとも竜野と?あっ、咲本か?」

へ?余りにも 予想外の質問にびっくりする。

「あの、私誰とも付き合ってませんよ。」

「そうなの?俺的には竜野かな?と思ったんだけど…。俺 タイミングいいのか 悪いのか 三人と安藤さんが 絡んでるとこ見てたりしてるから、ちょっと気になって…。」

「本当にすごいタイミングで見てるんですね。私にはちゃんと好きな人がいます///」

「俺にはそれを言ってもな。まぁ誰かとは聞かないよ。だけどさっきの三人共、それなりに目立つイケメンだから、行動には気を付けて。」

成る程、そういう事ね。私気を付けないと…。要らぬ噂とかやっぱり勘弁したい。

「ご忠告ありがとうございます。」

「あっ、ちょっと抱きしめさせて…。安藤さんが気になって心配で仕方ない奴が来たから。」

須藤さんが軽く私を抱きしめ 耳元で囁く。

「あいつ案外ジェラシーの塊なんだな…。」

「おい須藤。随分と大胆に仕事中に関わらず セクハラするんだな?」


はぁ?セクハラ?


「百瀬チーフ、これはセクハラではありません。須藤さんはいい人です。先輩とは全然違います。百瀬チーフも仕事サボってるのに…。」

「お前の基準がわからん。それに…もういい。杏早く須藤から離れろ。」

「どうした百瀬。お前らしくない、何焦ってんだよ?」

「須藤お前、わざとか?やな奴だな…。」

眼鏡をクィっと中指で上げるこの人も、中々のイケメンさん。わざとの意味がわからないけれど…。

「百瀬後1ヶ月したら日本にいなくなるし、安藤さんは自由だよ。どうする?ここにも 狙ってる男が居たとしたら?」

クスリと笑う悪い顔の人。

チッ。

出た…。先輩の舌打ち。

だけど何の舌打ち?先輩には関係ない話なのに、不機嫌顔の人。

「それで辛抱出来ない百瀬は フランスに1人で行くのを躊躇とか、笑える。アハハ…。」

「お前 前から性格悪いが、今日は最悪だな。俺 来週からの撮影出るの止めようか?」


「いいのか?撮影中、何か安藤さんにアクシデントあっても知らないぞ…。まっ俺が何とかするけど、後悔するのは誰かな?」


「くそっ。広報が仕切るとか うぜえ。もういいんだろ?杏帰るぞ、ほら。」


先輩に腕を引っ張られ エレベーターに乗せられる。


何で先輩は怒ってるのか、須藤さんに抱きしめられたから?

「先輩は須藤さんとは同期でしたよね?」

「ああ同期だ。だが今は須藤の話はするな。むかつくんだよ…。」

「仲良いのに、何で?」

「嫌、寧ろ関わりたくない。あいつあれで仕事が出来るから困る。フランス行きも そもそもあいつの提案で決まったもんだし。まぁいい話なんだけどな…。」

先輩は嫌だと言いながらも 須藤さんの事は
しっかり認めてる様だ。お互いに認め合う人がいる。


二人の見えない絆にさえ ちょっと嫉妬する私は心が狭いのかもしれない…。




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