* KING *

知らない…

先輩のキスは意味のないキスだと 頭ではわかっているけれど、度々惑わすのは本当にやめて欲しい。

「先輩は簡単にキスしますよね?」


念のために先輩に質問をする。


「それ、ほんと止めといた方がいいですよ。勘違いしてしまう可能性大だし、変な人だったらストーカーとかになっちゃいますから…」

「お前はストーカーになるのか?」

「なる訳ないじゃないですか?」

「…ならいいだろ?」


は?何がいいのだろうか?
自己満で話を終了するとか、どんだけこっちの気持ち無視するの?


もう 強制的になかった事にする。
今のは事故だ。軽いやつ…
そう思わないと 先輩と一緒に仕事する身には 中々の試練だとしか思えない。

ここ何回 自分に言い聞かせて来たか。

もう知らない。細かい事を気にしたら ストレスが溜まりまくりで、胃に穴がパンチングされてばかりだ。

「で、先輩はいつまでここにいるんですか?私先輩がいると、休めないんですが…」


「杏が心配で来たのに、帰れというのか? 」

「ありがとうございます。先輩の気持ちだけ有り難く受け取りますので、直ぐにお引き取り願いませんか?」

「はいはい。…ったく痴漢なんかされんなよ。お前は電車通勤禁止だ。」

「ご心配なく。明日から竜野君が車に乗せてくれるらしいです。先輩のお世話なしで大丈夫そうです。」

「何でだ?それ面倒だ…断れよ。」

「面倒って…」

「俺の助手席はお前のキープだろ?下僕が主人のいう事守れないとか、あり得ない。」


その考えがあり得ない…俺様もTPOに合わせて使って欲しい。特に先輩は…



< 173 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop