* KING *
「お前…。嫌いい…」

「百瀬さん、あなたって結構 見掛けとは違うんですね?それとも杏果に対してだけなのですか?」

「さぁ、どうだろ?」


先輩と竜野君の二人の会話を聞きながら カメラマンの前に行く。

私 ちゃんと笑える?
先輩みたいに格好よくは出来ないけれど、次もこの人じゃなくちゃダメ!って思われる様に 素敵に写真に収まりたい…


「ちょっと表情が堅いんだよね。誰か杏果ちゃんと絡んでくれないかな?」


へ?絡むってどういう事?


「私じゃダメかな?」


蘭さんが速攻私の側に来て、抱きしめられる。

え?マジで絡みってこういう事?

「蘭はダメ、面白いけど絵的におかしいわ…」

圭さんがダメ出しをして、私を蘭さんから引き離された。

「杏…」

自然に私の横に来て 迷わず抱きしめる先輩。

それに勝手にキスまでするとか こっちは心の準備どころか ギャラリーが多過ぎて恥ずかしさで死にそうだ。

カシャカシャとシャッター音が何度も聞こえる。

「杏果ちゃん 顔はこっちね…あっ百瀬君は やり過ぎない様にセーブ適当に…」


えっと?これは想定内の事?


「やだ///やめて下さい。百瀬チーフ…。」

「仕方ないだろ?杏が緊張するから悪い…」


これ逆に もっとおかしな事になるパターンじゃないかな?

てか、被写体 私以外にも写ったりして不味くない?色々脳内で一通り突っ込み、しまいに段々おかしくなって来て笑ってしまう。

今 リアルに何をしているのかも わからなくなる。だけど、カシャカシャと音と眩しいFlashが目に飛び込んでくる。


「いいねぇ。流石百瀬君。杏果ちゃんがイキイキしだしたよ。」


はぁ?それ完全に違うでしょ?

「…だってさ。杏 俺に感謝を込めて お前からキスしてみるか?出来るだろ?」

あり得ない…妖しくエロさ満載に囁く妖魔がいる。

「残念ながら出来る訳ないし、百瀬チーフの無茶苦茶な要求には従えません。」

だけど無意識に口を尖らせていたのかもしれない。


「ちょっと 怒った顔もキュートだね。取り敢えず、着替えて来てくれる?次も期待しているよ。」


はぁ…取り敢えず 乗り切ったのかな?


「お疲れ杏。この撮影に関係する男達 絶対杏のファンになったわよ。もう可愛過ぎる顔してたから…ライバルが増えちゃうわね…。」


圭さんが訳のわからない事を言う。


「さて、次のに着替えるわよ。凱人もあるんでしょ?」


促されるままに 会議室に入り、次の服に着替え、メイクも髪型もチェンジした…



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