* KING *
夕方になり、瑞木さんからサンプルが届いたという連絡が入った。

私は会議室2で シルエット検討会の準備をする。

レディースのボディは必要だし、資料と定規とまち針とシーチングテープと、あと鏡か。

先輩はモデルは私と言っていたが…絶対いやなんだけど…

スタイルには自信はない事はないんだけど、服を着たら 隠してるのがバレちゃうのがスゴく嫌だ…

私が引いたパターン5点

.ガーリーブラウス
.花柄フレアスカート
.ボートネックカットソー
.ワイドパンツ
.プリンセスラインワンピース

結構 いやかなり身体のラインがくっきりはっきりとわかるラインの物ばかり…色 形と可愛い系の服達だ。

いつもは メンズライクな物ばかり着用しているから これはかなり恥ずかしい。

コンコン…
ノックをして瑞木さんが入って来た。

「安藤ちゃんこれサンプルだよ。ボディに着せるの?」

「はい、あの私似合うと思いますか?」

「ハハ…安心して安藤ちゃん。大丈夫だよ。
でもそっか、恥ずかしい?」

プルル…

「あ、ごめん電話だ…」

電話をしながら、会議室から出て行く瑞木さんを見ながら ため息を吐く。

ブラウスとスカートをボディに着せていると…

「動かないとやっぱだめだろ?ラインがわかんない…」

と、突然先輩が後ろから話し出す。

「///キャッ。びっくりさせないで下さい。」

「お前が悪いだろ?扉開いてたし…」

「はぁ…瑞木さんはどうしたんですか?」

「何かトラブルあったみたいで フロアーから出て行ったよ。とにかく先に始めるぞ…お前はそこで早く着替えろ。」

はい?そこで着替えろ?先輩…やっぱり鬼なんだ…私まだ恥じらいがある女子なんですが…

先輩が指示した場所は 小さい折り畳み式のパーテ-ション、その裏で着替えるには 余りにも忍びない場所。

だけど、恥ずかしいとか思っているのが悔しくて ブラウスとスカートを持って 着替える。髪も長いので邪魔になるから高い位置で素早くお団子ヘア-にした。

衣擦れの音しか聞こえない静かな会議室で 似合わない服に着替えてる私って?

これ何の嫌がらせ?かなりシュール過ぎるでしょう…




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