* KING *
今日はほぼ1日パターン室で仕事をして、定時後直ぐに色部へと顔を出した。


「あら杏、今日はもうこっちには顔出さないと思ってたわ。あなた今日は早くに帰るんでしょ?デート?」

「予定がありますが、残念ながらデートではないです。」

「デートじゃないんだ。良かったわね凱人。」

「…んだよ。何が良かったんだよ?」

「ん、さぁあね…」


クスクス笑う圭さん。


「特に何もないなら 帰りますね。」


「お疲れ様、杏。」


エントランスを抜け 玄関先で竜野君に会う。

「お疲れ様。杏果もう帰るのか?」

「うん、ちょっとね!」

「えっ。デートとか?」

「///もう、みんなしてそればっかり…」

「違うの?」

「うん、習い事だよ…」

「へぇ、何の?」

「スィーツの教室なんだ。」

「それ旨そう。俺甘いの好きなんだよ。食べれるんだろ?」

「まぁね。一緒に来る?体験出来ると思うよ…。」

「え、マジか?もうこのまま行くよ。直帰という事にする。じゃあ 行こうか?」


は?意味がわからない。何で手を繋ぐのか?


「これ どういう事?」

「う~ん?仲の良い二人って事。」

ニコッ。キラースマイル頂いたけど、スルーしちゃうんだから…

「友達同士って手は繋がないよ。彼氏じゃないんだから、ね?」

「ちぇっ。ガード固いなぁ杏果は…」

「普通だし。もう連れて行くのやめるよ?」

「すみません…大人しくしますので、それだけは勘弁して下さい。」

項垂れる竜野君に クスクス笑いながら

「仕方ない、これならOKだよ。」

と竜野君の腕に 手を絡ませて横に並ぶ私。

「///」

「急がないと授業に遅れちゃう。次の電車には絶対乗るからね。」

赤い顔でうん、と頷く竜野君と駅まで小走りで走り 駅に向かうのであった。



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