* KING *
マンションに帰って来て、オートロックの所で いつもは鳴らさないベルを鳴らす。滅多にない事だから ちょっとドキドキする。


「あ、杏今空けるから。」


と、当然先輩が出て オートロックを解除し開けてくれる。何でもない事が凄くうれしいとか自分でも呆れる。

エレベーターに乗り、降りて曲がったら 先輩が玄関から覗いているではないか。

え?どうした?何があった?


「杏、お帰り。」


何故か落ち着かない。先輩が変だ…。


「ただいま。先輩どうしたんですか?頭 どこかでぶつけたりしましたか?」

「…んだよ?ぶつけたりしてない。それよりお前、デートの割に帰るの早くないか?」


は?会話がおかしい。先輩はデートだと決めつけている?手洗いうがいをして、洗面所から戻りながら


「デートじゃないって言ってた筈なんですけどね?」


「いや、人から竜野と一緒だと聞いたからな。」


誰?探偵並みに正確にスピーディーにタレ込みしたの?…そっちの方がびっくりだ。


「下手な事は出来ませんね。まぁ私は別に何も悪い事してませんが…。今日私は教室にスィーツ作りに行ってたんです。」

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