* KING *

ASAP

ケーキを美味しく頂き、片付けをしてシャワーを浴び リビングに戻る。

先輩はまだ飲んでいるの?それとも私を待ってた?

「杏、明日はこっちで仕事するのか?」

「はい、そのつもりです。何かありました?」

「いや明日は外出するから、そのつもりでいろよ。」

外出とか、普段のデスクワークばかりの私には嬉しいサプライズだ。しかも先輩と一緒という事が、レアでテンションが密かに上がる。


「わかりました。」


顔が熱く赤くなってると思うので 早からに自分の部屋に戻ろうとしている私に、また爆弾投下がされた。


「お前 パスポートはいつまで有効?」


それは…どういう意味があるんだろうか?


「確か、後5年以上は期間があると思いますが…。」


前に使ったのが三年程前だったから、それ位残っている筈だ。


「なら大丈夫だな。慌てて取りに行かなくていいな。」


先輩?


「お前も俺と同時じゃなく、フランスには連れて行くから、細かい事は任せておけ。」


「…///」


マジなの?先輩は私を連れて行くって事は 私を必要としているんだ。何だか告白でもされた様な高揚感に 言葉が全く出ない。

「嫌だったか?」

首をブンブン振る返事が精一杯で…

「ほらまだ髪乾かしてないだろ?部屋に入る前に こっちに来い。」


優しい手付きで髪をドライヤーで乾かす先輩に、キュンとしながら 胸の鼓動が世話しなくドキドキが止まらない。

先輩はやっぱり悪魔で私の息の根を簡単に止めるとんでもない人。

いつも沈められた場所から 必死に這い上がるだけ…それも何度も同じ場所をぐるぐると回る私は やっぱり先輩の言う通りのM体質かもしれない…

< 199 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop