* KING *
私 安藤 杏果(あんどう ももか)
25才。

今リアルに狼狽えてる
何で どうして どうなってる?

あっ きっと 夢なんだ
都合のよい夢の中で 起きたらガックリする…ってやつだ

目の前に憧れの先輩が、しかも 更にグレードアップしたイケメンに進化している?!

確かに高校生の時も みんなと同じ制服なのに とてもお洒落に着こなしていたし、今はスーツがさらりと似合う 大人の色気満載のセンスの固まりみたいな人が…いる?!

「おい、お前邪魔」

はい?!夢なのに 何か酷い扱い…
先輩は 微笑みの王子と 言われてた人なのでは?

あっ…そっくりさん?

「おい、そこのアホ面した女!!」

まさか、私の事?
先輩はそんな言葉使いしないから、別人さんだ。良かった…

「すみません」

「お前何処の部署のやつ?
まさか 企画じゃないよな?」

「あの…そのまさかです
今日から、本社勤務になりました
パタンナーの安藤 杏果です
あなたは?」

「今日から来るって聞いてた
パタンナーってお前か?
今月に退社する仲西さんの
代わりだよなぁ…大丈夫か?」

いきなり失礼極まりない態度
と言葉に、呆然としていた

「おいおい百瀬チーフ、うちの
新しい子 苛めないでよ~
ビックリして固まっちゃってるし
安藤ちゃん、こいつ口悪いだけで、
仕事は出来るんで 許してやって!」

今確かに 百瀬チーフと聞こえた
誰か、嘘だと言って…

「安藤ちゃん、
彼が企画のチーフの百瀬だよ
そして、俺がMDの瑞木
俺の顔は面接の時に見ただろ?
今から 朝礼で 皆に紹介するから、
よろしくね」

「瑞木さんの事は覚えています。よろしくお願いします」

何度聞いても 百瀬さんだ
まあ、あの顔+百瀬は先輩しか、いない

私の甘い切ない思い出が
一瞬のうちに 遠く彼方に
飛んで行ってしまった

先輩…卒業してから
何があったんですか?





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