* KING *
ブラウスをスカートにインして、観念して先輩の前に姿を見せた。

「………」

「あの…無言とか止めてもらえません?似合わないのは重々承知しているので、顔さえ見なければOKでしょ?」

「へぇ…お前すごいな。女は怖いって久々に思ったわ…」

どういう意味?褒めてるか貶しているのか 全くわからない会話だけど、先輩は私に近付き、肩先を触る。

「なぁ、このブランドのコンセプト知ってるか?」

「いえ知りません。勉強不足ですみません。」

「そっか、だけどお前に着てもらって良かったよ。コンセプト通りに出来てると思うから…」

「ほら手を上げて、脇のゆとりもOK。衿の収まりもいい。このパタンナーセンスいいな…」

「///そうですね。仕事の鬼ですから…」

「クスッ。そうだな…スカートのヒップラインがまたいい。思わず触りたくなる…スカート丈も絶妙。色っぽいな…」

着ていてすごく恥ずかしい…私が言われてる訳じゃないのに。服の感想なのに…

「でも、あれだな。この…嫌いい…」

何か言い掛けて止めてしまった先輩。

「わかった。スカートのフレアの分量のみ 10%位押さえよう。その他は修正なしで。次 カットソーとパンツに着替えて。」

とりあえず良かった…ドキドキと自分の仕事のスキルを直に採点されているから 緊張半端ない…

またパーテ-ションの後ろに行き 今度はカットソーとパンツに履き替える。

あっ、このパンツすごく履き易い…自分で褒めてもいいレベルだ。

着替え終えて先輩の前に出る。

「お前には このカットソーは似合わないな…鏡を見てみろ…」

かなり辛辣な感想を言われ 少しショックだ。似合わないのは 初めからわかっているのだから。

先輩に言われて 鏡を見ると…

「な、スタイルが良すぎて 服が負けてしまっているんだ…」

「え?どういう事ですか?」

「セクハラな事を言ってしまうけど、本当の事を聞きたいだろ?」

「はい先輩は初めからキツいので、大丈夫だと思いますが…」

「あのなぁ…バストラインがやばい。この服の可愛さが死んでる。しかもウエストラインが高い細いで足長いとか お前何の?」

はい?何なのって何?

「ガチでモデルになれんじゃないの?スカウトされた事あるだろ?」

ギクッ…だから嫌だったんだ…先輩は他のも気付いた?知らない振りしてくれる?

「早く着替えたいだろ?でもチェックが先だ。瑞木が来るまでに終わらせるから、安心しろよ…」

///ドキドキ…どうして何も言ってないのに 優しいの?反則だよ…いつもは超俺様なのに…



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