* KING *

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あれから2ヶ月があっという間に過ぎた…




「皆さん、私は明日からパリに行きます。次会うのはいつになるのかはわかりませんが、パワーアップして帰って来ますので、その時は また温かく迎えて貰える様に、向こうで頑張って来ます。お世話になりました。」


パターン室と開発の皆さんに挨拶をする。

明日からパリとか まだ全然実感がないのに、果たして大丈夫なのだろうか?

先輩は2ヶ月前にさっさとパリに行ってしまい、毎日Skypeだと煩く言ってた割に 音沙汰なしだ。


「安ちゃん、せっかく仲良くなれたのに、寂しいよ。でも安ちゃんは向こうで活躍するって信じてるし、応援してるからね。」

「ん?あれ…柚ちゃん応援って何?」

「え?まさか…安ちゃん知らないの?」

「杏果///行くなよ。俺、寂しいよ。」

「もう、タッキーも?一緒だね…」

「え、竜野君?」

三人で抱きあうとか、それはないわ…仲良しだから?

あのあの…さっきの私の話はスルーなの?何でいつも私だけ知らない事多すぎない?

「杏果、絶対活躍するって約束して。私がファン1号になりたい。ダメ?」

「俺がファン1号だよ…ね、杏果いいだろ?」

なんの話なのかな?全くわからないのは どうやら私だけみたいだ。圭さんがいつの間にか来ていて

「もう二人共 杏の前ではその話はタブーよ。」

「あっ。そうか…圭さん流石です。その徹底ぶりには参りますよ。」

「でしょ?早くパリに行きたいわ!」

クスクス笑う圭さんと竜野君。何だかとてもいやな感じしかしない。

「杏果、今度会うときは 俺とデートして。約束だよ。」

こら~勝手に決めないで!

「嫌。隠し事ばかりする人なんて、口聞かないんだから…」


「え~っ、圭さん言ってもいい?」

「ダメよ。」

「やっぱ悪魔だ…。杏果が言ってたのは 本当だったんだ…。」


────で、
結局教えてもらってない。


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