* KING *
「なあ 改札出てお前どっち方向?」

先輩の声が聞こえて ハッとする…

「また別の世界にでも行ってた?お前 よく人の話の途中にトリップするよな…特に俺との時に…」

「先輩、すみません…で 何ですか?」

「家って どこら辺な訳?」

地名を言って 先輩はわかるのだろうか?

「泉町ですが…わかりますか?」

「は?泉町…マジか?」

その様子だと 先輩の家から近いのかな?

「お前何で この駅なんだ?隣駅の方が泉町なら近いだろうが…」

えっそうかな?確か2つの駅の間位だから、今の駅選んだんだけど、そうなんだ…

「だけど、私が先輩と最寄り駅が同じって
…何だか嫌だな…」

「はぁ?なんだよ…別に構わないだろ?お前と俺に特別な感情なんてないんだから。何なら今からうちに来るか?特別に招待してやるぞ…お前が嫌じゃなければ…」

クスッと笑う先輩に 少しイラッとした私は…心にもない返事をしてしまう。

「そうですね。折角のお誘いなんで 有りがたくお邪魔させて下さい。」

「…あぁ…」

そんなつもりじゃないのに、流れで変な方向に向かう会話にストッパーもないまま…今私は先輩の住むマンション前にいる。

何でこうなる?教えてよ…15分前の私…


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