* KING *
今私の心臓はあり得ない早さで起動中…あの高校生の時の憧れの人のプライベート空間に侵入しちゃってるから…

しかも…先輩の部屋って、レア中のレア。

「こんなの…ずるいです。私の夢の塊みたいな部屋じゃないですか?」

「ハハ…夢の塊って?これがか?」

「羨ましいって言うか…何なんですか?」

「う~ん、少しずつ好きな物を集めたら こうなったかな?」

先輩の部屋の1つは トルソーが一体と、昔のアンティークのお洒落なミシンが本当に使える状態で置かれている。そして大きめの机の作業台。棚には色々なカラーの糸が 収納されている。

それに部屋の天井部分から鉄パイプが下ろされていて、巨大なハンガーラックがある。
大胆なインテリアセンスと 部屋のコーディネートに心は釘付けにされてどうにかなりそうだ。

このミシンいくらするんだろ?作り掛けの作品らしき物が作業台に置かれていて、先輩は本当に服が好きなんだと思う。

「///素敵…このアトリエ、趣味で何か作ったりしてるんですか?」

「ああ 頼まれたら オーダーメイドとかな。」

「先輩…私も手伝いたいです。ダメですか?いや、お茶汲みでも構いません。この空間で 作業したいです…」

「お前ガチで言ってる?」

「勿論ガチですよ。先輩と一緒の時間を過ごさなきゃダメという苦行があっても 全然余裕でお願いしたいです。 」

「アハハ…お前滅茶苦茶だな…。じゃあさ、何で自分を偽ってるか教えろよ…それぐらいさらけ出さないと 俺の癒しには入れてやれない。」

そこか…実際話すのは嫌だな。だけど この素敵空間は 夢の中でさえ居られない場所…

「わかりました…仕方なしに話ます…でも今日話した事は 他言無用でお願いできますか ?」

「ああ勿論。約束するよ…」

私は先輩に 自分の黒歴史だった頃の話を初めから話し出した…


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