* KING *
昨日は 自分の本来の姿を先輩には見せた。恥ずかしかったけど、先輩には見せれた。

今日買い物に行くという先輩。だけど先輩が人と買い物するというイメージが全くない。本当に行くの?という疑問がわく。

朝起きたら リビングには朝ご飯が用意されている。先輩のマンションに来てから 凄く規則正しい生活をし食が改善され、顔色が毎日素晴らしく良い、気がする。

「遅いぞ杏、早く食べろ。」

「おはようございます。先輩早いですね…」

先輩は 既に朝ご飯を食べ シャワーを浴びるという余裕さえある。髪が濡れていて 更にイケメン度アップで 朝からドキドキさせられている。

赤い顔を見られたくなくて、先輩を背中に朝ご飯を急いで食べる。

「おい、急げとは言ったが良く噛めよ…」

親に言われてる感じで注意される…いや、小姑か?ちょっとうるさい同居人であるのは確かだ。

「今日は どこに行くんですか?」

「ん?色々だ。多分お前は一生行かない様な場所だ。」

はい?何か上から目線炸裂で 気に入らない。

「もぅ先輩には 優しい言葉が頭にインプットされていないんですね…可哀想にボキャブラリーが少ない人って…」

「おい、お前大概にしろよ…」

「はぁご馳走さまでした。何やら苛められた気がしたんですが…気のせいですね。用意して来ますね。」

「ああ。5分で準備しろよ…」

鬼、悪魔、魔王がここに…
どこの世界に 女子の用意が5分で出来るの?男でも 無理な話だと思うのだけれど…

変人は時間に厳しそうなので、出来るだけ ご要望に応える為に 素っぴん ロンT ジーンズにカーディガンのシンプルコーデのノーコンタクトで 完璧な私を演出。

外に出ても 誰も私だとは気付かない出で立ちで準備OK。

よくよく考えると デートなのに…可愛さ10%位で 自分で失敗したなと思った。だけど…

「お前…やっぱ格好いい。今日は楽しみだな…」

先輩が いつもより顔が穏やかな感じがして、私は居心地が悪い様な、いや背中に羽が付いたらこんな感じ?みたいなフワフワした気持ちで 玄関から外に出た。

久しぶりの素の姿で 外の世界の扉を開けた…







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