* KING *
次の日になり、明日は発表する会議の日。
マップ作りは 今日が正念場で 中々思い通りのイメージ写真が見つからず 少し焦る。

カラー展開のカラーを先輩に見てもらったのだけれど、カラーのダメ出しは意外になく拍子抜けした。何だかダメ出しされないと不安とか もう訳がわからない。

先輩曰く 私のセンスは自分と似ているらしい。それは…かなり嬉しい事で…

だって私が好きな物が 先輩も好きだなんて…

好きな人と同じ物を見て 同じ感覚って 最高に幸せだと思うから…

「杏 今日は遅くなるぞ。本当は明日の為に早く返してやりたいんだが…」

「先輩の限界は 案外早いんですね。私まだまだやれますよ。何の為に…私が先輩の側にいると思っているんですか?」

「そうだな。俺に濃き使われる為だったな…」

「もう…何でもいいですから。指示早くお願いします。」

「ハハハ…百瀬と安ちゃん すっかり仲良しコンビだね~。」

会議室に差し入れを持って来てくれた 瑞木さんが言う。

「「違う!」」

「ほら息も合う。」

「「あり得ない!」」

「へぇ…百瀬お前…」

「瑞木さん、邪魔だけしにくるとかなしですよ。ちゃんと手伝って下さいね。」

「ハハ…ここは一度入ったら出れなくなる蟻地獄?」

「ほら瑞木 これ纏めてくれよ、明日の資料として渡したいから。」

「はいはい、俺は邪魔者って事で フロアーで作業するよ…」

クスクス笑いながら 瑞木さんは会議室から出て行った。

「先輩の同期って中々やりますね。なんやかんや言っても慕われてるなんて幸せ過ぎて 涙が出ちゃいそうになりません?」

「チッ。ある意味もっと慕われてもいい奴からは いつも愚弄ばかりが聞こえて仕方ないんだけどな…」

「へぇそんな人いるんですね?先輩も大変ですね。私が優しくしましょうか?」

「この部屋におかしな奴がいるから 出ていくか?」

「先輩そんな自ら問うとか 頭大丈夫ですか? もうおかしな事ばかり言ってないで、仕事しましょうよ…」

「そうだな…まだまだやる事があり過ぎて。いや、ちょっとは休憩するぞ…」

「あ、これ食べたいなって思ってたんですが、鬼が怖くて言えませんでした。」

「……」

「鬼が大人しくなったみたいなので、頂きます… 先輩お茶入れてきましょうか?優しい後輩が…」

素早く会議室から出て 笑いながらお茶室に行く私は かなりテンションがハイになっていた…


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