* KING *

立ち位置

朝から慌ただしく時間ばかりが過ぎる。フロアーで昨日の会議の報告を先輩がした後、私は先輩と いつもの会議室2に入るつもりでいた。

昨日まで会議室2となっていた部屋に 新しく増えたものがある。会議用デスクがなくなり、普通のオフィスに置いてある机が三つ設置され、パソコンも机に装備。会議室は1,2が両方合体の 部屋の名前まで変わっていた。

「杏、今日からこの部屋に新しい助っ人が入る。3人でCOLORを立ち上げるから、昨日までの自分は忘れる事。」

机の他に 大きい作業台、鏡、フィッティングルーム、ミーティングスペースと、何だか この部屋に全部入っちゃっていいんですか?状態なんだけど…きっとチョイスは先輩なんだ。とてつもなくお洒落だ。

いつの間にこんなの用意したの?昨日は下に行ってないから、昨日中に?神業の様なオフィスは、私のお気に入りになった。


部屋の外には
『*COLOR ROOM*』
と名前まで付いていて驚いた。

それと、後1人って誰だろ?
私が知っている人なのかな?

コンコン…
扉を叩いて入って来たのは…圭さんだった。

「驚いた?」

「え~。本当に?圭さんがうちに?」

「杏、圭はここでは お前の上司。COLORのプロデュースをやってもらうから よろしく。」

「杏、ごめんね。サプライズにしたかったから 昨日も黙ってたの。3人でCOLORを作りあげるの 凄く楽しみよ…頑張りましょうね。」

「因みに、俺を鬼に仕立てたのは 圭だから。俺の師匠に文句は言うなよ!」

「え~。圭さんが先輩の師匠?え~、圭さんはいくつなんですか?」

「だめよ。年齢は内緒…凱人よりは年上なだけよ。」

「そうなんですね。綺麗な人は特ですよね。先輩より ずっと下に見えます。」

「あら、嬉しい事言うじゃない?」

「あの今更なんですが、圭さんの名前を教えて頂きたいんですが…」

「私は穂積 圭よ。杏は? 」

「安藤 杏果です。」

「あら可愛い。ももか…だったのね。凱人も百瀬で…ももだらけね~。」

「おい、いい加減お喋り止めて仕事しろよ。」

「やあね、女子トークに入れなくていじけてる凱人なんか ほっときましょう。あっ、そうだ。今日は杏のヌード寸法測らないといけないんだった。メジャーある?」

「あの、ヌード寸法って?」

「お前がモデルなんだから、お前の身丈に合わせる服作らないと意味ないだろ?」

まぁそうだ。でも測るのは…先輩と圭さん?

中々のミッションが始まる様で 1人ワタワタと焦る私が 反対に可笑しく見えて 笑ってしまった…

「私は一応女子なんです~!!」

「だから?」

「それがどうした?」

話が通じない男?二人を相手に 私達3人でこれから始まる楽しい職場に 頭が痛い…二日酔いが 更に悪化したのは 気のせいではなかった…。





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