* KING *
「わかったから 泣くなよ…。」

「泣いてません。先輩の前では涙が勿体ないですから…。それに私決めてるんです。泣く時は 嬉し涙って!以前そんな場面で誓ったんです。だから…こんな事では泣きません。」

「……」

先輩は黙って 向こうを向いてくれた。突然の行動に反対にびっくりしてしまう。

「おい、早く服を着ろよ。10,9,8…」

「あっ、待って10秒じゃ無理です。」

急いで ワタワタと部屋着をとりあえず着る。

「54321ゼロ、遅い。タイムオーバー…」

だけどね、口では何だかんだ言いながら 向こうを向いたままの先輩に 私は背中から抱きしめた。

「先輩…もう私の部屋には泊まらないで下さいね。この部屋は今日以降 男子禁制になりました。だから最後の宿泊ですよ。」

「///ああ、わかった。」

何で これで照れるの?先輩のテレ具合は難易度が難しく やっぱりわからない。

「というか…あの私今まで 普通に独り暮らしで生活してたので、何の問題もないです。元の生活に戻りたいんですが…」

「ん~。それだと問題が多々あるだろ?」

「例えば?」

「俺の部屋が広過ぎる、俺の料理が1人だと余るし勿体ない。朝のお前の服をコーデする楽しみが減る。後…俺の助手席がキープ出来ない…。」

イヤイヤ…私関係なくないですか?コーデの所位しか 居ても居なくてもいいのでは?

「あ~これだ。お前と一緒だと笑えるんだよ…。」

///ドキン。先輩わざとですか?超絶私を堕とそうとしてません?そんな 熱烈な告白されても 困るだけなんだから…


「仕方ないですね。週末だけ自分の部屋に戻っていいなら、また先輩のマンションで暮らしてもいいですよ。」

「平日は俺のマンションで、週末はここでって事か?それなら俺もたまには気分転換になるし、まぁまぁの提案だな。」

「え?先輩、週末になっても先輩はここには来たらダメですよ。わかってますか?」

「えっ何でだよ?」

「週末は 自分だけの自由時間。ただそれだけです。それに さっき話した通り この部屋は 男子禁制なんですから、先輩ははいれません。」

「圭ならいいのか?」

「まぁ…そうですね。圭さんならギリOKですが、泊まりはなしです。」

「週末だけか…わかった。で、早く朝の用意しなきゃ 二人で遅刻だぞ。」

わっ。本当に…先輩に振り回される日々は これからも 続く事が決定した。とにかく 今は 出社準備をして、昨日休んだ分を 巻き戻さなきゃだ。

私の居場所は まだ先輩の側。それが苦しい様な、嬉しい様な先輩の言動で UP downする、とんでもなく俺様KINGに やっぱり目が離せないのであった。


< 90 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop