* KING *
次の朝 パターン室からの仕事に取り掛かる。今日は5型は仕上げたい。

私が切羽詰まっているのを見かねて 室長が私に声を掛けて来た。

「安藤ちゃん 中々の仕事抱えてるよね。昨日も遅かったみたいだし、パターン室からのヘルプ入れるから、指示出してよ。咲本にお願いするから。」

「えっ 室長神ですよ。いいんですか? うちのあっちの部屋には 鬼や悪魔しかいませんよ。何てここは天国?」

「いやいや、ハハ…流石安藤ちゃん 言うね~。咲本 ちょっと来てよ!」

「はい、室長何ですか?」

パターン室で唯一話した事がない 同僚の咲本さん。確か私より5才位年上だったはず。

「咲本 今お前の抱えてる仕事を取り敢えず 置いて 安藤ちゃんのヘルプをしてくれないか?頼めるか?」

「安藤さんのヘルプですか?俺が?見返りは?」

「それは 直接安藤ちゃんに交渉って事で、頼むよ。」

あれあれ 何だかこの咲本さんって、変わり者?

「そ、じゃあOKです。安藤さん 休憩室行こうか?」

親指をたてられ 部屋の外に促され 後ろから肩を抱かれて連れられる。

この人の考えに全くついていけない。何が目的なの?不安しか見えないこれからに 戸惑いながら 休憩室に到着した。




< 97 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop