* KING *
部屋に戻ると 死神が私を追い詰める。パターン室なのに 二人の距離が近過ぎないか?

「ほら杏果 早く仕様書とデザイン画見せろよ。」

「///あの咲本さん…。」

「違うだろ?俺の名前教えただろが。」

「聖人さん。近いので少し離れて下さい。」

「あ?何でだよ?」

耳元で言わないで欲しい。死神の声は 私の脳を痺れさすかなりのイケボ。

それに死神は 普段超絶クールなお洒落な人。ただそれだけの存在感0に近い人だったのに…顔もよく見るとスゴく整っていると気付く。

先輩は 綺麗系男子でさえ 平凡レベルに落としてしまうとんでもない人だと ここでも思う。

「何?見つめちゃって 惚れた?」

「///んな訳ないでしょ?いや、聖人さん綺麗な顔してて格好いいなって 今気付いて見てました。」

「ちぇっ今かよ。遅くない?あっ、杏果は百瀬や穂積見てるから 目がおかしくなってんだよ。あいつら別格だよな。お前も悪くない。俺イメチェンした杏果は度ストライクだし。なぁ お前男いるのか?」

「あのあの聖人さん、今は超絶急ぎで仕事進めたいので、仕事以外のお話は 就業時間外でお願いしたいので、質問は却下です。」

「お前やけに厳しいな。そっか仕事が早く終わればいいんだよな。了解。お前が全体ラインを引いて 俺がパーツ仕上げでいいか?」

「それでOKです。縫い代は通常で、ゆとりは…確認しながらって事で お願いします。」

「なぁ今日は早く帰れるから 期待しとけよ。」

クスリと笑う死神は 何か見えないフェロモンを撒き散らして席を離れて行く。

パターン室の温度が 私の周りだけ10℃は上がった感じがする。すかさず柚ちゃんが 私の席にすっ飛んで来た。

「///さっきのあれ何?あんな 咲本さん初めて見たんだけど…。」

「さぁ?何かとんでもなく嫌な気しかしないんだけど…」

「え~。咲本さんファンクラブある位 隠れファンいるんだよ。流石安ちゃん、やっぱ違うよ///」

「え~どうしょ?何かさっきの話だと ストーカー的な事を言われたんだけど、私大丈夫かな?ファンにばれないか 心配だよ…。」

「咲本さんいつもクールだから、信じられないけど…安ちゃん 何かあったら私に相談してね。安ちゃんを守るから!!」

「柚ちゃんありがとう。でも 仕事を助けてくれるみたいだから、取り敢えず様子をみる事にするよ。」

それから死神は恐ろしく 作業が神的に早く 末恐ろしい見返りが必要というのは これか?と思わずにはいられない事態になり、
今日はCOLOR roomには結局 顔を出さないで 死神と帰る羽目になってしまった。




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